アスリートが皮膚科を受診するときの注意点|ドーピングと皮膚科治療薬|五反田品川ひらた皮ふ科|五反田駅より徒歩7分の皮膚科・美容皮膚科

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アスリートが皮膚科を受診するときの注意点|ドーピングと皮膚科治療薬

アスリートが皮膚科を受診するときの注意点|ドーピングと皮膚科治療薬|五反田品川ひらた皮ふ科|五反田駅より徒歩7分の皮膚科・美容皮膚科

アスリートが皮膚科を受診するときの注意点|ドーピングと皮膚科治療薬

スポーツ選手の方の中には、「この薬はドーピング検査で大丈夫かな」と心配される方もいらっしゃいます。
実際にアスリートの方の診察では、「この薬はドーピング検査で問題になりませんか?」とご相談を受けることがあります。

市販薬や処方薬、サプリメントだけでなく、皮膚科で使用される治療薬の中にも注意が必要なものがあります。

今回は、ドーピング検査対象となるアスリートの方に向けて、皮膚科治療で注意が必要な薬剤や、受診時に知っておきたいポイントについて解説します。 

ドーピング検査対象のアスリートが皮膚科を受診するときの注意点

まず大切なこととして、競技スポーツをされている方で

・ドーピング検査対象者である
・ドーピング規定のある競技会へ出場予定がある
・今後ドーピング検査対象になる可能性がある

といった場合、医療機関を受診した際は必ずご自身がドーピング検査対象者(またはその可能性がある)であることを医師や医療スタッフへ必ず伝えましょう。
なぜなら、医療者は治療方針を考える際に、症状や重症度だけでなく、使用可能な治療薬・治療法も加味して検討する必要があるからです。
(前回お伝えいただいていても、受診のたびにご申告いただけると安全な治療につながります)

伝え忘れてしまうと、症状に対して最善の治療を受けられたにも関わらず、「うっかりドーピング違反」につながってしまう可能性があります。
また、薬剤の使用可否は日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によるGlobal DROで確認しましょう。

ただ、通常は使用が禁止されている薬剤でも、治療上必要なため使用せざるを得ないことがあります。
その場合には、指定書式での治療使用特例(TUE)申請の手続きを行います(後述の項目参照)

競技団体や大会レベルによって規定や運用が異なる場合があるため、ご自身が所属する競技団体や出場予定の競技会の規定も確認するようにしましょう。

ドーピング検査で禁止されている主な成分・投与方法

ドーピング検査には、競技会時に実施される検査と、競技会以外の期間に行われる競技外検査があります。
禁止物質や禁止方法は毎年更新されるため、随時確認が必要です。

2026年のWADA禁止表では、成長因子、蛋白同化薬(アナボリックステロイド)、一部のホルモン製剤などが常に禁止されています。
 参考:日本アンチドーピング機構(JADA)「国際基準について

また、糖質コルチコイド(ステロイド)は競技会時に禁止されており、皮膚科診療でも注意が必要です。
以下では、皮膚科で使用される薬剤の中で特に注意が必要なものについて解説します。

ドーピング検査対象アスリートが皮膚科で注意したい薬剤

皮膚科の治療でも、いくつかドーピング規定で禁止されている薬剤や投与方法があります。
今回は
2026年のWADA規定をもとに、代表的な薬剤や使用方法についてご紹介します。
ただし、毎年規定は更新されるため、必ず最新情報を確認するようにしましょう。

フィブラストスプレー(トラフェルミン)

フィブラストスプレーは、外傷や熱傷、褥瘡などに使用されることがある外用薬です。
成分であるトラフェルミンは、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)です。
WADA禁止表で禁止されている成長因子関連物質に該当するため、競技会外、競技会中いずれも使用が禁止されています。

ステロイド外用薬

湿疹やアトピー性皮膚炎などの治療で広く使用されるステロイド外用薬は、皮膚への外用であれば使用が許可されています。
傷口では吸収量が増えることがありますが、通常の外用使用でドーピング検査の基準値を超えることはほとんどありません。

そのため、症状がある部位にはしっかりと外用治療を行いましょう。
皮膚症状を放置して悪化すると治るまで時間がかかるため、練習や大会に影響が出ないよう早めに治療を始めることが大切です。

ただし、口腔粘膜や直腸内へのステロイド外用剤の使用は禁止されています。
ステロイド外用薬使用に関しても、毎年規定改定がないか確認するようにしましょう。

ステロイド内服薬

プレドニン、セレスタミンといった薬剤は、糖質コルチコイドであるステロイドの内服薬です。
皮膚科診療では、アレルギーや自己免疫反応、強い痒みや炎症がある時に使用される場合があります。

糖質コルチコイドの内服は、競技会時には禁止されており、競技会期間外に使用した場合には一定期間のウォッシュアウト(体内から薬剤が十分に排出されるまでの期間)を取る必要があります。

ウォッシュアウト期間は薬剤の種類や投与方法によって異なります。
また、体格や代謝などによって薬剤の体内動態には個人差があるため、競技会への出場予定がある場合は事前に確認しましょう。

そのため、競技会への出場予定がある方は、ステロイド内服薬での治療開始前に主治医と相談し、ウォッシュアウト期間中の治療方法の計画を立てるために競技スケジュールを共有することも大切です。(ステロイド内服薬の急な中断は、症状を悪化させる可能性があるためです)

ステロイド皮下注射

円形脱毛症やケロイドでは、ステロイドの皮下注射での治療が行われることがあります。
しかし、2026年のドーピング規定では、ステロイド(糖質コルチコイド)の皮下注射は競技会中禁止されています。

競技会外に使用した場合でも、薬剤や投与量によっては競技会時の検査で検出される可能性が否定できないため、内服と同様に競技会までに十分なウォッシュアウト期間を確保する必要があります。
ウォッシュアウト期間には個人差があり、医療機関での測定検査も難しいため、ステロイド皮下注射治療をするかは慎重に医師と判断しましょう。

エピペンの使用について|アナフィラキシーなど重症なアレルギー発症時の対応

アドレナリンはドーピング規定上は注意が必要な成分ですが、アナフィラキシーは命に関わる緊急事態であるため、救命目的でのエピペン®の使用が優先されます。

アナフィラキシーが疑われる場合は命に関わる状況のため、ドーピングを心配して使用をためらわず、速やかにエピペン®を使用しましょう。
使用後は競技団体やアンチ・ドーピング機関へ相談し、TUEを含む必要な手続きについて確認することが大切です。

AGA治療薬はドーピング検査で大丈夫?

フィナステリド・デュタステリド

男性型脱毛症(AGA)の治療に使用されるフィナステリドやデュタステリドは、2026年現在は禁止物質には指定されていません。
(フィナステリドは、過去には禁止薬剤として指定されていました)

ミノキシジル

AGA治療や薄毛治療で使用されるミノキシジルは、現在は禁止物質には指定されていません。
AGAの治療薬は、市販品やサプリメント、輸入薬など様々な物が流通しています。

注意したい点は、製品によってはドーピングで外用・内服いずれも使用が禁止されているテストステロンなどの男性ホルモンを成分として含む物があったり、成分表示が不十分な製品もあることです。
そのため、薬剤はできるだけ成分表記が明確な物を選び、最新のドーピング規定を確認して安全な製品を使用しましょう。

治療使用特例(TUE)について

ドーピング規則で禁止されている物質や方法であっても、医学的に必要な治療については、治療使用特例(Therapeutic Use ExemptionTUE)が認められる場合があります。

TUEが必要となる場合には、原則として使用前または大会前の申請が求められます。
しかし、大会期間中に緊急治療などで使用せざるを得なかった状況では、事後申請(遡及的TUE)により使用が認められる場合があります。 

また、TUEの審査では、主に以下のような点が検討されます。

・使用しなければ健康に重大な影響が生じること
・競技力向上を目的とした使用ではないこと
・合理的な代替治療がないこと
・その他、規定された条件を満たしていること

申請には診療情報や検査結果などの資料が必要になる場合があります。
申請した場合でも、その薬剤が競技力向上の目的で使用するのではなく、治療として使用する必要性があったかどうか厳しく審査されるため、必ず承諾される訳ではありません。

皮膚科では、症状や経過が分かる写真を保存しておくと、治療経過を示す補足資料として役立つ場合があります。(提出資料として求められるかどうかは個別のケースによります)

競技会への出場予定がある方は、使用中の薬剤の確認や、所属する競技団体や出場予定の競技会の規定も確認しましょう。
TUEが必要な場合、作成には時間がかかることがあるため早めに主治医に相談することが大切です。

ドーピングが心配になったときは|Global DROなどの公式サイトを確認

今回の記事で何度も記載していますが、ドーピング規則は毎年更新されています。

そのため、

・以前は問題なかった
・他の選手が使用していた
・インターネットやSNSで大丈夫と書かれていた
AI検索で問題ないと書かれていた

といった情報だけで判断することは避けましょう。

使用予定の薬剤について不安がある場合は、必ず公式の検索サイトで最新情報を確認してください。

■参考サイト
<薬剤検索・確認サイト>
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によるGlobal DRO
<アンチ・ドーピング使用可能薬剤リスト>
日本スポーツ協会(JSPO)による使用可能薬剤リスト 市販品も記載され、毎年更新あり
<eラーニングサイト>
JADAによるアスリート向けのアンチ・ドーピングeラーニング

トップアスリートとして薬を使用する時に大切なこと

皮膚科で使用される薬剤の多くは使用可能ですが、一部にはドーピング規則上注意が必要なものがあります。
受診時には自身がドーピング検査対象者であることを医師へ伝え、薬を使用する前には必ず最新の情報を確認しましょう。

また、特に競技会が近い場合は、治療開始前に競技スケジュールも伝えるようにしましょう。
競技会外と競技会中では薬剤使用の規定が異なる場合があり、競技予定に合わせた治療計画を立てるためです。

不安な場合は自己判断せず、主治医やスポーツファーマシストへ相談することが大切です。
当院では、日本スポーツ協会公認スポーツドクターとして、これらを配慮した皮膚科診療をしておりますので、お気軽にご相談ください。

■関連リンク
アスリートの皮膚トラブルについては、当院のスポーツ皮膚科ページでも詳しくご紹介しています。

※本記事は2026年WADA禁止表国際基準を参考に作成しています。
禁止物質・禁止方法は毎年改定されるほか、競技団体によって運用が異なる場合があります。実際の使用可否については必ずGlobal DRO、所属競技団体、チームドクター、スポーツドクター・ファーマシスト等へご確認ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 市販の痒み止めや蕁麻疹の飲み薬は大丈夫ですか?
A. 花粉症や蕁麻疹、痒み止めとして、皮膚科では抗ヒスタミン薬を処方することがあり、ドーピングで禁止されていません。
ただし、ディレグラ®配合錠にはプソイドエフェドリンが含まれています。
プソイドエフェドリンは競技会時に禁止されている成分であるため、ドーピング検査対象となるアスリートでは、競技スケジュールによっては他の治療薬を検討します。
また、市販薬の中にはドーピング規定上注意が必要な成分を含む場合があり、安全な成分か確認して選びましょう。

Q2. ステロイドの塗り薬はドーピングになりますか?
A. 皮膚に使用するステロイド外用薬は原則として使用可能です。
ただし、口腔粘膜や直腸内への投与は競技会時には禁止されているため注意が必要です。

また、ステロイド外用薬で皮膚症状を速やかにコントロールするためには、症状に合わせた薬剤の選択や外用範囲、使用方法が重要です。
ご不安な場合は、皮膚科医へ相談しましょう。

2026年8月7日

執筆:五反田品川ひらた皮ふ科 平田佳子

皮膚科専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターとして、一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く診療しています。
スポーツに伴う皮膚トラブルや、競技を行う方の皮膚疾患にもスポーツ皮膚科として診療しており、競技種目や活動状況に応じた治療・ケアのご提案を心がけています。
皮膚のお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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