一般皮膚科
一般皮膚科

皮膚は、人のからだ全体を包んで皮膚の外側からの刺激や紫外線、病原体などから自身を守るバリア機能を担う臓器です。また、体内の水分を保ったり、体温を調整したりと、様々な役割を果たしています。
そのため、皮膚は内外の環境から影響を受けながら日々変化を続けています。
皮膚の疾患はとても多くあり、症状も多彩です。皮膚科は、皮膚トラブルを通して症状に向き合うだけでなく、その人の心身の状態やライフスタイルなど幅広い視点で皮膚と向き合う診療科です。
子どもからご年配の方まで、皮膚疾患を幅広く診療しています。
皮膚でお困りのことや気になる症状がある際は、お気軽にご相談ください。
かゆみや赤み、ざらつき、水ぶくれなど様々な皮疹として現れます。
皮膚への刺激により炎症が起こり、原因には外的刺激(擦れ、掻く、洗剤など)やアレルギー(食物、花粉、ハウスダストなど)などが挙げられます。さらに、乾燥肌や汗を多くかくなど皮膚が刺激を受けやすい状態だと湿疹が起こりやすくなります。
治療は、ステロイドなどの外用薬や、かゆみがひどい場合はかゆみ止めの内服薬も一緒に使用して炎症を十分抑えることが重要です。また、湿疹が起こる部位は保湿をすることでバリア機能を高めて再発を予防することも大切です。
蕁麻疹は、ぷくっと膨れた赤い皮疹が現れて数時間〜多くは24時間の内にまっさらに消え(膨疹)、かゆみを伴って繰り返すことが特徴です。感染症や食べ物、薬など明らかな誘因がある場合もありますが、原因が特定できない突発性として発症することが多いです。
治療は、早く痒みや再発を抑えるために抗ヒスタミン薬の内服を行います。また、効果が不十分な場合には注射薬での治療もあります。特に6週間以上症状が続く「慢性蕁麻疹」では、膨疹が継続的に出なくなるまでは治療を続けることが重要です。
また、蕁麻疹は疲労やストレスが重なった時期に起こりやすいため十分な休養を取ることも大切です。アレルギーが疑われる場合には血液検査などでの原因検索も、再発を防ぐために有用です。
アトピー性皮膚炎は、かゆみや湿疹が長期間にわたり、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。特にまぶた・耳・首・肘・膝など、からだの左右対称に症状が現れやすい傾向があります。この背景には、皮膚の乾燥やバリア機能の低下、遺伝的素因があり、そこに外からの刺激(例:汗、空気の乾燥、皮膚に触れる物)やストレス、アレルギー反応(ダニ、ホコリ、食べ物など)が加わることで慢性的な皮膚炎が生じます。
治療目標は、症状が無いあるいは症状があっても軽症で薬をあまり必要とせず、悪化してもすぐに治るといった皮膚の状態です。皮膚の性質を根本から変えることは難しいですが、ご自身の皮膚に悩まず、日常生活を楽しく過ごせるよう一緒に取り組んでいきましょう。
アトピー性皮膚炎では治療や保湿ケアにより皮膚のバリア機能を高めることが大切です。
治療方法には、塗り薬(外用薬)、飲み薬、光線治療、注射薬があり、その中でも様々な薬剤があります。
基本的に、痒みや赤みが強く出ている時期は皮膚の内側で炎症が起きているため、十分な強さと量のステロイド外用薬を中心とした治療を行います。症状が落ち着いてきたら、ステロイドの副作用を避けるため薬の強さや外用する回数を調整したり、非ステロイド系(JAK阻害薬など)の塗り薬へ変更していきます。
また、難治なアトピー性皮膚炎の患者さんには、皮膚内で炎症を引き起こす物質(サイトカイン)の働きを抑える生物学的製剤による治療もあります。症状が重く、従来の治療で効果が得られない場合や、忙しさなどで外用治療の継続が難しい場合には、生物学的製剤の内服薬や皮下注射の薬を使用することもあります。
当院では生物学的製剤のうち、デュピクセント®、ミチーガ®による皮下注射の治療を行っています(当院では18歳以上の方に治療適応しています)。
症状が改善した後も、皮膚バリア機能の低下を補うため保湿ケアを続けることで、湿疹が出にくくなったり、痒みや皮疹があっても生活に支障が出ない状態を目指すことができます。
にきびは思春期からみられやすくなり、男性ホルモンによる皮脂分泌の亢進、角質による毛穴の詰まり、アクネ菌(ニキビの原因菌)の増加が主な原因です。大人になってからはホルモンバランス、睡眠不足、ストレスや環境変化、皮膚の水分量や皮脂分泌の変化など、様々な要因が影響してにきびを発症します。
にきびの初期の症状は、コメドという毛穴の出口が角質でつまって皮脂を溜めた状態です。白くポツポツとしたコメドの中でアクネ菌が増えると炎症が強くなり、赤く腫れたり膿をもったりします。
治療は、塗り薬 (コメドを改善する薬剤、抗生物質など)や内服薬(抗生物質、漢方薬、ビタミン剤など)を使用します。
また、にきびを治すためにはスキンケアも重要で、洗顔の時ににきびをこすらないように優しく洗ったり、洗い残しがないよう十分に洗い流すなど、にきびがちな肌に合わせたスキンケアも大切です。その他に、海外ではにきびの治療薬として使用されているアゼライン酸を配合したクリームも効果的です。
当院では重症なにきびや、長年治療を続けても繰り返すにきびに対して、美容皮膚科での治療も行っておりますのでご興味がある方はお気軽にご相談ください。
単純ヘルペスウイルスに感染したり、体の中でウイルスが活発化することで発症します。特に唇や口腔内(口唇ヘルペス)、外陰部やおしり(性器ヘルペス)での発症が多いですが、顔や体、足で皮膚症状が現れることもあります。
感染した単純ヘルペスウイルスは神経節に入って潜伏し、寝不足、疲労、かぜなどで免疫力が低下したり、紫外線を多く浴びたりするとウイルスが再活性化して増え、神経の末梢で皮膚症状を引き起こします。
初めての感染で発症する場合、強い腫脹や痛み、発熱もみられることがあります。再発の場合には、最初にチクチクとした痛みや違和感が生じ、時間が経過すると同部位で赤みや水疱が現れます。
治療は、ヘルペスウイルスに対する塗り薬または内服薬を使用します。
からだの中のヘルペスウイルスは薬では完全に消し去ることができないため、治った後も神経節に潜伏しているウイルスがからだの免疫力低下などをきっかけに活発化・増殖して再発します。
頻回な再発により痛みや皮疹など生活に支障がでやすいため、治療や予防のための治療方法があります。ご興味のある方は是非ご相談ください。
・再発性口唇ヘルペス
再発性単純ヘルペスで1年で3回以上の再発を繰り返す場合、発症後すぐ治療が始められるよう予め抗ヘルペス薬を携帯し、初期症状の痛みを自覚した時点からご自身で内服を始める治療方法(PIT)があります。忙しくてすぐに受診できない方も口唇ヘルペスが悪化する前に治療を開始することができます。
・再発性性器ヘルペス
陰部やおしりなどで1年に6回以上再発する方は内服薬で予防することができます。抗ヘルペス薬(バラシクロビル)を1日1回毎日内服します。それでも再発してしまった場合には、治療としての内服に一時的に切り替えて対応します。
水痘(みずぼうそう)の時のヘルペスウイルスが、皮膚から神経を伝って感覚神経が集まってできた神経節に潜伏し、からだの免疫が低下した時にウイルスが活発化して痛みと皮膚症状を出して発症します。鋭いまたは鈍い痛みが現れ、その後同じ部位で赤い皮疹や水疱が線状および帯状にからだの左右片側でぽつぽつと出現することが特徴です。頭や顔、体、腕・足どこでも発症し、目や鼻の近くで発症した場合は眼球の障害や、耳の近くではめまい・耳鳴りなどが起こることがあります。
治療は抗ヘルペスウイルス薬の内服や、重症化の場合は点滴治療を行います。痛みへは対症療法として鎮痛剤の内服や、患部を温めることが有効です。皮膚症状が治っても、末梢神経が傷つくことで生じる「帯状疱疹後神経痛」が数ヶ月から数年間残ることがあり、早期治療が重要です。
乾癬の皮疹は、表面に銀白色の角質のかたまり(鱗屑)を付けた赤い皮疹(紅斑)が、頭・肘・腰・膝など刺激を受けやすい部位にできる慢性の皮膚疾患です。ときに爪の変形や、指や膝、踵、腰などの関節痛を合併する場合もあります。
紫外線が皮疹を抑えることに有効なため、夏は症状が比較的軽く、秋や冬に症状が悪化しやすい特徴があります。また、乾癬はストレスや喫煙、肥満など、生活習慣の影響を受けやすい疾患です。
治療は、塗り薬の外用や内服薬を中心に、症状の経過によって光線療法や、重症な場合には生物学的製剤の薬(内服薬や皮下注射)を使用することもあります。
当院では外用薬と内服薬の治療に併せて、頭や関節部位など皮疹が改善しづらい部分には光線治療を組み合わせた治療も行っています。お気軽にご相談ください。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に感染することで発症します。皮膚の小さな傷や高温多湿になる部位で感染しやすく、足の指の間や土踏まず、かかとなどに皮むけ、水ぶくれ、ひび割れなどが見られます。
また、足に感染した白癬菌が爪に広がって爪白癬になったり、手について顔や足の付け根(鼠径部)、陰部などに感染が拡大することがあります。
診断は角質を採って顕微鏡検査で行います。
治療は症状に応じて塗り薬や内服薬を使用します。完全に治るまでには時間がかかるため、早期に発見して治療を根気強く続けることが大切です。
ウイルス性疣贅とも呼ばれ、皮膚が盛り上がった小さないぼで、ヒトパピローマウイルスの感染によって発症します。手足にできやすく、子どもからご年配の方までみられます。自然治癒することもありますが、放置することでイボが大きくなったり、他の部位や他人にうつることがあります。爪の近くの皮膚にできた場合には爪が変形することもあります。
治療は、液体窒素による冷凍凝固療法や塗り薬、漢方薬などがあります。完全に治すまでには時間を要する疾患の1つですが、治りづらくならないよう根気よく治療を続けることが大切です。
足の皮膚の一部分に、歩く時の体重負荷など強い圧迫刺激が加わり続けることで皮膚が厚くなってできます。
たこは角質が厚くなっただけで、通常は痛みはなく、うおのめは中央の芯が皮膚の内側へ食い込んでいるため当たると痛みが生じます。
治療は分厚くなった角質を削ることで痛みを和らげます。
再発を防ぐためには、靴の調整や履き方、歩き方の見直しなど、日常生活での負担軽減が大切です。
多汗症は、全身の汗が多くなる全身性多汗症と、体の一部だけ汗が多くなる局所多汗症に分けられます。また、発症の原因がはっきりと分からない原発性と、他の疾患に合併して起こる続発性とがあります。原発性では遺伝的な要因も関係すると考えられています。
多汗症のメカニズムはまだ解明されていませんが、緊張や体温が上がった時などに、汗を出すための交感神経の働きや汗腺(エクリン汗腺)が活発に働くことで発汗量が過剰になることが考えられています。
手のひらや足裏、わき(腋窩)ではエクリン汗腺が多く分布しているため、わき汗による服の汗ジミや、手足では滑りやすさや、持っている物が湿ったり、ひとの手を握ることを控えたくなるなど、他の人に悩みを相談しづらい症状を自身の中で抱えてしまうことがあります。また、顔や頭の多汗症に悩んで皮膚科を受診される方もいます。
治療は、発汗量を抑えるための塗り薬(塩化アルミニウムや部位別外用薬)や、症状によっては内服薬、ボツリヌストキシン皮下注射があります。
(当院ではボツリヌストキシン皮下注射は自費治療で対応しています)。
・多汗症の外用治療薬の代表例
円形脱毛症は免疫の異常が関わる疾患で、毛をつくる毛包の周りで炎症(自己免疫反応)を起こすことで毛が抜けてしまいます。遺伝的要因やアトピー、甲状腺疾患、膠原病との関連も考えられています。
頭皮で起こることが多く、丸く毛が抜けた部位が1つできる単発型、複数できる多発型、全頭型、汎発型、蛇行型に分類されます。また、眉毛や髭などの顔や体毛でも発症することがあります。
円形脱毛症は自然に治癒することもありますが、再発を繰り返す場合や、徐々に脱毛範囲が拡大する場合には早めに皮膚科に受診することをお勧めします。重症化すると治りにくく、改善まで長年の治療を要することもあります。
治療は、外用治療やステロイド局所注射および点滴、内服治療、紫外線療法、局所免疫療法があります。当院では外用治療や、光線治療も行っております。
男性では早い人では20代から薄毛症状が始まり、40代以降にかけて徐々に進行します。その原因には、主に男性ホルモンの影響で毛包が縮小して毛髪が細く短くなり、毛髪が成長しづらくなることが原因です。
女性では更年期以降に見られることが多く、頭頂部の広い範囲で薄毛が進行します。
現在AGAの治療は保険適用外のため、当院では自費診療で内服薬・外用薬による治療を行っています。
爪は指先を保護するだけでなく、手指の繊細な感覚や足のバランス感覚に関わる重要な皮膚の付属器です。
爪は、根元側にある爪母と呼ばれる部分で作られ、その先にある爪床(そうしょう)という土台の上を前方に向かって伸びていきます。この2箇所が健康な爪が生えるために重要な機能を担っています。
爪母や爪床に障害が起きると、爪の変形や変色などの異常が生じます。
爪の変形の原因は、爪水虫などの感染症、巻き爪などの機械的刺激、その他にも皮膚疾患(乾癬、扁平苔癬など)、爪や爪周囲のできもの、栄養障害など、様々な要因があります。
経過が長い場合には健康な爪が生えにくくなってしまい、見た目だけでなく手足の感覚にも影響を及ぼす場合があるため、早めの治療や正しい爪のケアが重要です。
爪の表面が白や黄色の点状に濁りがでたり、爪の先の白い部分が後側へ広がって爪が分厚くなったりすることが特徴で、爪の下にボロボロとした角質があることが多いです。
爪表面や爪の下の角質を採って顕微鏡検査で診断します。
治療は症状によって塗り薬または内服薬で行います。爪の生え変わりには時間がかかりますが、完治する前に治療を中断すると再び白癬菌が爪で増えるため、根気強く治療を継続することが大切です。
長年にわたって靴との摩擦や圧迫が続いたり、爪やその周りのケガの影響で正常な爪を作る機能が失われ、分厚い爪が生えるようになった状態です。
根本的な治療は難しいため、日常生活の中で爪が物に引っかかったり他の指を圧迫して痛みが出ないように、爪切りや爪やすりで整えて対応します。爪を正しくケアすることはケガの予防にもなります。
爪が分厚い、強く曲がっているなど、ご家庭で爪切りを行うことが難しい場合には皮膚科で爪切り処置を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
・巻き爪
負担がかかりやすい足の親指の爪でみられることが多く、爪の両端が過度に内側へ彎曲した爪の状態です。原因は、サイズの合わない靴による圧迫や、加齢変化によって爪を支える指の骨の変形(骨棘)などがあります。
巻き爪の矯正は現在保険適応外のため、彎曲した爪に矯正ワイヤーや器具を装着する治療を自費診療で行われます。
・陥入爪
巻き爪が悪化したり、深爪にしたりすることで、爪が指の皮膚に刺し込んでしまった状態です。歩く時に痛みが出たり、爪と皮膚の間に傷やジクジクした皮膚の腫れ(肉芽)ができ、つらい症状が治りにくくなることがあります。
治療では、爪による皮膚の圧迫を解除してあげることが大切です。テーピングや肉芽に対して液体窒素治療や手術など、爪や皮膚の状態に合わせて治療を行います。また、陥入爪は深爪をきっかけに症状が出ることが多いため、爪の角を指先先端のラインまで十分に伸ばすことも予防のポイントです。